鶴田一郎さんのリトグラフ『ブルーストライプシャツ』

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大学時代、建築学を学んでいました。

理系あるあるですが、建築学科も日々の課題が結構なボリュームで、
自宅は製図版と模型製作用のデスクのみという、
とても女子大生のワンルームとは思えない状態でした。

そんな殺風景な部屋にアクセントが欲しくなり、
何か置いてみようかなと考えるようになりました。

ある日、模型の材料を買いに近くのユザワヤへ出かけました。
※ユザワヤとは、手芸やホビー用品を扱う大型専門店です。
 全国展開しており、ただ見ているだけでもテンションが上がるお店です。
ユザワヤのジグソーパズルコーナーを通りがかったとき、
ある作品の前で足が止まりました。

「これ、飾りたい・・・」
そう思いました。

一目見て気に入ってしまい、気づけば模型材料とパズルを両手に抱え
レジへと向かっていました。

パズルは1000ピース。
白い部分が多く、組み立ては苦労しました。
記憶では3日程かかったと思います。

完成したパズルに艶出しのニスを塗り、
乾燥させたのちシルバーの額に入れて部屋の一角に立てかけました。

それが鶴田一郎さんのこの作品、『ブルーストライプシャツ』でした。

鶴田一郎さんといえば、ノエビア化粧品の広告でご存知の方が多いと思います。

→鶴田一郎さんとは

大学を卒業して就職、そして結婚と、都度引っ越しをしましたが、
『ブルーストライプシャツ』はずっと私とともにありました。

2011年3月の東日本大震災、私の居住地域では震度5強の揺れが発生しました。

自宅へ戻ると、壁に立て掛けていた『ブルーストライプシャツ』が倒れていました。

額を持ち上げて元に戻そうとしたところ、倒れた衝撃のせいか
パズルがフレームから外れていて、パズルのつなぎ目に沿ってぐにゃりと
歪んでしまいました。

歪んだ部分を組み直して無理やり額に収めたものの、
浮いた箇所を完全に戻す事は出来ませんでした。
ジグソーパズルなので元々は紙。
特にパズル特有の形である凹凸の凸になった部分は、
一度曲がってしまうと元に戻すのは困難でした。

「もう随分長い間飾ったし、仕方ないかな」
と思いつつ、気に入っていたためそのまま飾っていました。

しかし、一度崩れてしまうとやはり強度が落ちてしまうようで、
その後頻繁にフレームから外れて崩れるようになってしまい、
泣く泣く処分することにしました。

今の自宅ではポスターとリトグラフを1点ずつ飾っており、
それはそれでとても気に入って大切にしているのですが、
『ブルーストライプシャツ』のことが忘れられず、
事あるごとにネットでポスターやジグソーパズルを探していました。

しかし、この作品は鶴田一郎さんが2000年に発表したもの。
当然ながら今更ジグソーパズルが見つかるはずもなく、
180点限定のリトグラフも発表して早々に完売したそうで、
ここ数年は半ば諦めながらインターネットを彷徨っていました。

この日も、数年変わることのないネット情報を見ていたのですが、
あるアートギャラリーさんのHPを見て、何故か問い合わせをしてみようと
いう気になりました。

そのアートギャラリーさんは、鶴田一郎さんの作品を多く扱っているようで、
だいぶ前からHPを見ていたのですが、『ブルーストライプシャツ』は
ずっと売約済と表示されていました。

売約済となっているにも関わらず何故今更問い合わせてみようと思ったのか。

正直なところ、分かりません。

でも、私はそのアートギャラリーさんへ問い合わせのメールを打ちました。

それから2週間が経過した2020年年の瀬。

写真にあるとおり、『ブルーストライプシャツ』は私のところへ来てくれました。

これは、アートギャラリーさんがあらゆる手を尽くしてくださったこと。
タイミングと縁にも恵まれたこと。
様々な要素が噛み合って叶ったことでした。

2020年は人と交わることを否とされ、その流れは年末になってより加速。
実家へ戻ることなく年を越すこととなり寂しい思いもしましたが、
改めて我家へきてくれた『ブルーストライプシャツ』を
ゆっくり堪能することができました。

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