帝国ホテル東京「ゴールデンライオン」

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帝国ホテル東京。
欧米諸国からの賓客をもてなすため、鹿鳴館に隣接する地に建てられた
歴史あるホテル。

普通の会社員として日々の生活を送っている私にとっては、敷居の高い場所です。

ただ、休日に丸の内周辺を歩き疲れ、混雑する喫茶店やカフェに辟易した時、
ロビーのラウンジで休憩がてらお茶を飲み過ごすことがごくたまにあります。

ゆとりのある座席と吹き抜けの高い天井、重厚感のある内装、
普段過ごしている場所とは明らかに異なる雰囲気は、
休日気分をさらに一段格上げしてくれます。

学生時代に建築史を学んでいたため、帝国ホテル東京ライト館を設計した
アメリカ人建築家、フランク・ロイド・ライトが同じ誕生日と知るや、
勝手に親近感を抱き、ライトの設計した建物を片っ端から調べたこともあり、
帝国ホテル東京には学生時分から憧れに近い感覚を抱いていました。

それから月日が経ち、ラウンジでお茶を飲みながら
贅沢な時間を過ごせるようになったもんだな、と自分で自分を褒めながら、
その勢いのままホテル内のお店で美味しいパンを購入し、
自宅でそれを楽しむ、
俗に言う『ご自愛』時間を時々満喫しています。


先日、そんな私が帝国ホテル東京で夕食を頂く機会がありました。

勤務先の方から声をかけてもらい、直接現地集合となったため、
わくわくしながら仕事帰りに地下鉄を乗り継ぎ、ホテルのロビーに向かいました。

しかし、到着して館内の案内を見ても、指定されたお店の名前が
どこにも見つかりませんでした。

やむなく近くのスタッフの方にお店の名前を告げたところ、
わざわざその場所まで私を案内してくださいました。

流石帝国ホテル・・・

とは言え丁寧過ぎる気もする・・・

と思いながらも案内されるがままついて行きました。

入口の扉は開いており、そのまま先へ進むと
そこはレストランというより、重厚なバーといった雰囲気の場所でした。

そのお店の名は


『ゴールデンライオン』



あとから知ったことですが、そこは帝国ホテル東京の会員制バーでした。

帝国ホテル東京には、ホテル会員限定のサロンやラウンジがあるそうで、
ホテルのHPでも入会条件等が案内されています。

一方で『ゴールデンライオン』は、同じ会員制と言っても全くの別物であり、
HPや館内の案内表示はおろか、
その名すらどこにも明示されていないそうです。

スタッフの方が扉の前まで案内してくださった理由がそこで分かりました。

一緒に誘いを受けた勤務先の先輩も、ゴールデンライオンに来たのは初めてだそうで、
なんだここ・・・、と隣で呟いていました。

ゴールデンライオンでは、帝国ホテル内にある
全てのレストランの食事を取り寄せることができるそうです。

こんな場所でスマホのカメラを起動するのは無粋かと思い、
画像は何一つないのですが、美味しいお酒、食事、会話に集中でき、
空間を五感で楽しめたように思います。

お酒に疎く、白ワインをグラス1杯程度しか飲めない私には、
KENZO ESTATEの『あさつゆ』が用意されていました。

落ちついた空間で、何にも急かされることなく、自分のペースで頂いた
初めての『あさつゆ』は、私史上最高に美味しい白ワインになりました。

未だ、これを超える白ワインには出会えていません。

実はこの日、近くの席では世界的に有名な建築家の方が食事をしていました。
私は内心「あ、あの人。。。」なんて思ってしまいましたが、
話しかける人はおろか、横目で見たりする人すらいませんでした。

きっと、どんなに有名な人が来ようがここの雰囲気は変わらない。
だからこそ、肩書きを外してゆっくり飲める場所。
限られた人しか入れない空間なんだ。。。

そんな風に思いました。

未知の世界を覗いた高揚感や、
何も知らず現地まで来てしまった自分の無知さ、
こんな身近にも全く別の世界が当然に存在することへの
ちょっとした無力感、色々な感情が入り混じった
何とも不思議なホテルステイとなりました。

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