『風神雷神 Juppiter,Aeolus(上下)』

books -本を読む-

京都の建仁寺に所蔵され、京都国立博物館が管理する国宝
〈風神雷神図屏風〉。
作者は俵屋宗達です。

名の知れた有名な画家でありながら、明確な生没年は不明であり、
おそらく日本で織田信長や豊臣秀吉などが活躍していた
1570年代から1640年前後を生きていたとされています。

この俵屋宗達の少年期を描いた原田マハさんの歴史小説
『風神雷神 Juppiter,Aeolus(上下)』。

同じ時代を生きていたであろう歴史に名を残す様々な人物たちと
俵屋宗達が同じ場所で同じ時間を過ごしていたとしたら・・・
が描かれた壮大な物語です。


当然フィクションなのですが、実際本当にそうだったのでは・・・
と思ってしまうほど、ノンフィクションとフィクションの
境目が曖昧になるこの感覚は、まさにマハ中毒です。


私がマハさんのアート小説が大好きな理由は、
毎回この感覚を味わうことができるからです。

(これ以降、一部小説の内容に触れる箇所が
ありますので、お読みの際はご注意ください。)


織田信長に謁見した宗達は、絵師狩野永徳が描く〈洛中洛外図〉の制作を
手伝うことになります。
そして、信長からの命を受けた宗達は、天正遣欧使節の一員である
少年、原マルティノらとともにイタリアを目指します。

国宝である〈風神雷神図屏風〉を描いた俵屋宗達が、
織田信長と接点があったとしたら・・・

同じ時代を生きた絵師、狩野永徳と筆を交えていたとしたら・・・

同年代であっただろう天正遣欧使節団の少年たちとともに
海を渡り、海外のアートに触れていたとしたら・・・

そして、歴史に名を残した海外の画家との交流があったとしたら・・・

壮大な物語に、年明け早々睡眠を忘れて一気読みしてしまいました。


風神雷神 Juppiter,Aeolus(上) (PHP文芸文庫)


風神雷神 Juppiter,Aeolus(下) (PHP文芸文庫)



コメント

PAGE TOP