フェリックス・ヴァロットン。
19世紀末にパリで活躍した画家です。
ポスト印象派のゴーギャンなどに影響を受け、
新たな美の創造を目指した若い芸術家グループ
『ナビ派』に属していました。
多数の油彩画も制作していますが、
ヴァロットンと言えばやはり木版画。
白と黒のみで表現された中間色のない版画は、
ヴァロットン最大の特徴と言えます。
『ヴァロットンー黒と白』展が開催されている三菱一号館美術館は、
世界有数のヴァロットン版画コレクションを所蔵する美術館です。
特に連作〈アンティミテ〉は、30部限定という希少性の高さにも関わらず
10枚全てが揃っている上、「版木破棄証明の刷り」までも所蔵している
日本唯一の美術館です。
「版木破棄証明の刷り」とは、希少性を保つため、
それ以上の上刷りができないよう版木を物理的に切断し、
それらの断片を組み合わせた版画を作成することにより
版木の破棄を証明するためのものです。
今回の展覧会では、この〈アンティミテ〉10枚と
「版木破棄証明の刷り」全てを観ることができます。
私はこの〈アンティミテ〉がとても好きで、
同じ三菱一号館美術館で2014年に開催された
『冷たい炎の画家 ヴァロットン展』で初めて〈アンティミテ〉を
鑑賞して以来、お気に入り作品の一つになっています。
三菱一号館美術館は、2023年4月から2024年秋頃まで、
施設の改修に伴い長期休館となります。
ヴァロットン作品ともしばらくお別れとなりそうなので、
会期中にもう一度観に行く予定です。
帰りはミュージアムショップで〈アンティミテ〉の
「版木破棄証明の刷り」がプリントされたトートバッグを
購入しました。
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